フランスのコルシカ生まれ。ある者に言わせれば、スピノジはクラシック音楽における「アンファン・テリブル」である。また、彼は並はずれたリズム感と身体能力を持ち合わせた、音楽家=振付師であり、従来の音楽ジャンルを超え、新たな聴衆へ働きかけ続けている。
ヴァイオリニストと指揮者、ふたつの顔を持つスピノジは、1991年「アンサンブル・マテウス」を創設し、仏ブルターニュ地方において唯一と言える国際的名声を誇るアンサンブルに成長させた。アンサンブルとともに、パリ・シャトレ座を始めヨーロッパ各地で新しいプロダクションに携わっている。特に古楽の研究に情熱を注いでおり、2005年にはヴィヴァルディの未録音作品シリーズをリリースし、話題を呼んだ。
ウィーン・フィル、ベルリン・フィルをはじめ、世界中のオーケストラから頻繁に招かれており、日本ではこれまでに新日本フィル、大阪フィルに客演している。カーネギーホールからアジアまで、その活躍の場は幅広い。
チェチーリア・バルトリ(メゾ・ソプラノ)、フィリップ・ジャルスキー(カウンター・テナー)といった世界一流の歌手からの信頼も厚く、EMIヴァージン・クラシックスから発売されたヴィヴァルディのオペラ・アリア集「ヒーローズ(Heroes) 」は20万枚以上の売上を記録した。
スピノジはまた、ピエリック・ソランやオレグ・クリーク、クラウス・グースといった世界的に著名なプロデューサーらと組み、独創的な舞台を世に送り出している。仏気鋭の振付師のカメル・ウアリと組んだハイドンのオペラ《オルランド・パラディーノ》では、新たな客層を開拓し評判を呼んだ。またスピノジが熱心に研究を重ねてきたモーツァルトの《魔笛》も幅広い層から好評を博した。