50周年のシーズン最後に待っている定期演奏会(今シーズン最後のすみだクラシックへの扉)は、かなり意外な組み合わせだ。ジャズ・ピアニスト、作曲家としても活躍する小曽根真が書き下ろすピアノ協奏曲「SUMIDA」は、小曽根が墨田区の文化やその歴史を探訪して得られたインスピレーションから音楽を作り上げるという異色作。しかし、墨田をテーマにしたジャズ的な要素も入れたクラシック作品は歴史的にも初だろうし、ピアノ協奏曲というスタイルもまた魅力的だ。期待して、その初演を待ちたい。

その協奏曲の前にはワーグナーの『ローエングリン』より「エルザの大聖堂への行進」、そして後半にはブルックナーの最後の傑作「交響曲第9番」が組み合わされた。大植はバイロイト音楽祭に出演した(2005年、『トリスタンとイゾルデ』) 唯一の日本人指揮者。またブルックナーへの想いも強い。どちらの作品も壮大なスケールを持っているので、新日本フィルハーモニー交響楽団のオーケストラとしての魅力が楽しめる選曲だ。

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