6月のマーラーの3番に続いて、音楽監督・佐渡裕が就任以来力を注ぐ「ウィーン・ライン」の真打ちともいえる交響曲=ブルックナーの5番を聴かせる。この曲は対位法の巨匠が持てる技術を最高度に発揮した稀代の名作。緻密にして荘厳な大伽藍の如き音楽は、約80分の間、耳を引きつけて離さない。加えて本作は、同作曲家の魅力が集約された“最もブルックナーらしい交響曲”であり、壮麗なオルガン的サウンド、厳しくも美しい曲想、圧倒的なクライマックスを存分に堪能できる。
佐渡は24/25シーズンまで音楽監督を務めたオーストリアの名門トーンキュンストラー管や新日本フィル(23年10月の4番、24年9月の7番)でブルックナーの名演を重ねてきた。ここは、ブルックナーが活躍したウィーンの空気もよく知る彼が、そうした本場の味や持ち前のダイナミックな表現で魅せること必至だし、活力と厚みを増した新日本フィルの今を知る意味でも聴き逃せない。