デンマークの名匠トーマス・ダウスゴーのドイツ物へのアプローチに注目が集まる公演。BBCスコティッシュ響等、様々なポストを歴任しているダウスゴーは、新日本フィルとの鮮烈な快演等で日本でもお馴染みの存在だ。

今回はまずベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲が大注目。それはソリストが、ドイツが誇る現代最高のヴァイオリニストの一人、クリスティアン・テツラフだからだ。常にエキサイティングな音楽を奏でる彼は、23年3月の新日本フィルとのベルク作品の名演も記憶に新しく、さらに今回のベートーヴェンの協奏曲では2種の版による録音を含めて高い評価を獲得している。後半のブラームス(シェーンベルク編)のピアノ四重奏曲第1番は、大家若き日のメロディアスで活力に満ちた名曲を、新ウィーン楽派の巨頭が管弦楽化した快作。曲本来の哀愁や情熱とモダンな色彩感が合体したフレッシュな音楽で、特に生演奏における生き生きとした感触は格別だ。