Music Partnerの久石譲が、作曲家ならではの明晰な切り口で王道名曲をリフォームする。ブラームスと彼に後押しされたドヴォルジャークという19世紀後半の大家の組み合わせ自体が久石としては珍しいし、ドヴォルジャークのチェロ協奏曲を知ったブラームスが、「人がこのような協奏曲を書けることに、なぜ気づかなかったのだろう。気づいていれば自分が書いたのに」と嘆息した逸話からも面白いカップリングだ。
ドヴォルジャークのチェロ協奏曲は、日本を代表する名手・宮田大の豊潤で雄大なソロと、久石との初コラボによる化学反応が、むろん大きな楽しみとなる。ブラームスの交響曲第1番は、久石が小編成のフューチャー・オーケストラ・クラシックスと共に、タイトで推進力に溢れた快演を展開している演目。それは先入観を排除した画期的なアプローチだけに、フルサイズの新日本フィルでいかなる音楽が展開されるのか? すこぶる興味をそそられる。