1998年ブラジル生まれの指揮者ジョゼ・ソアーレスが、ラテン系の作品を聴かせる。彼は、2021年、23歳で東京国際音楽コンクール〈指揮〉第1位、及び聴衆賞を受賞した期待の新星。審査員と聴衆の双方が認めた逸材が、コンクールの本選でも指揮した新日本フィルの公演に本格的なデビューを果たす。

プログラムは色彩感抜群だ。同郷の大家ヴィラ=ロボスの「ブラジル風バッハ」第4番と、アルゼンチンの代表格ヒナステラの「エスタンシア」組曲では、本場仕込みのリズムとサウンドが炸裂し、中でも原始主義の影響が濃い『エスタンシア』は、血湧き肉躍る音楽が胸を鼓舞すること必至。幅広い人気を誇るギタリスト・村治佳織が弾く「アランフェス協奏曲」では、官能的で色鮮やかな共奏を堪能できる
に違いない。そして「アルルの女」の「ファランドール」は満場興奮の締めくくり。ここは、今年25歳の俊才が魅せるフレッシュで躍動的な音楽を満喫したい。

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