アンサンブルの楽しさを知ったのは小学生の時です。個人レッスンを受けていたヴァイオリンの先生が、ヴィオラやチェロの藝大生を招いて合奏のレッスンもしてくださっていたおかげで、自然と室内楽になじみ、ヴィオラの音に親しみを感じていました。自分はヴィオラに向いているかな、と思うようになり、藝高をヴァイオリンとヴィオラで受験した時に第一希望をヴィオラに選びました。高校の授業で組んだカルテットで奥志賀の室内楽勉強会に参加し、小澤さんに出会ったことから世界が広がりました。

「弦楽四重奏が基本」という小澤さんの理念は、小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトにも生かされていて、この音楽塾に参加した4年間は、私にとって、とてつもなく大きな経験になりました。衝撃的だったのは、小澤さんから「お腹から音を出せ」と教えられ、音の出し方の基本を学んだことです。音楽塾からサイトウ・キネン・オーケストラにも参加しましたが、この間に得た感触は今も体のなかに残っていて、悩んだり、わからなくなったりする時に、あの時の音、言われた言葉がよみがえってきて助けられています。

ここで学んだもうひとつが内声の重要性です。内声が音楽を動かす、という気持ちをもって積極的に動かしていくと、音楽がより立体的になるとわかったことで、ヴィオラを弾く楽しさに目覚めました。音の刻みやのばしひとつをとっても、その上のメロディが弾きやすいものと弾きにくいものがあると思います。内声が担っている役割にあらためて気づいたことが、オーケストラでヴィオラを弾きたいという気持ちにつながりました。

NJPは、お互いにアンテナを張り巡らして、みんなで解決して作り上げていこうという空気があって、その室内楽的な雰囲気がとても楽しいです。コロナ禍での距離をとっての演奏で、音のコミュニケーションにより敏感になり、音楽で語ろうとする結束力がより強くなったようにも感じます。結成50年という節目の年に、これまで築き上げてきたスピリットを引き継ぎつつ、新しいものを取り入れていこうというエネルギーに満ちていて、その流れに参加できる喜びを感じています。

映画が好きで、気分転換にはよく洋画を見に行きます。あとお酒も大好きなので、コロナが落ち着いたらみんなで飲みに行きたいですね!楽しみにしています。