家の書棚には 30 冊以上あるんですが、きょうは、絶版になったものを含めて、何冊かもってきました。

きっかけは、パリに留学していたとき、日本語が飢えるように読みたくなり、持ってきた本のなかから1冊、『こんどは俺の番だ』を読んだことです。その後、パリの古本屋で、『北の海』をみつけて買い、パリにいる6年の間、この2冊を何度も何度も読み返しました。

 

帰国後、ほかの著作もいろいろ読みましたが、一番好きなのは、やはり『こんどは俺の番だ』です。 これまで 20 回くらいは読んだでしょうか。井上靖というと、ザイル事件で知られる『氷壁』や、『敦煌』 『天平の甍』などの歴史ものが有名だと思いますが、『こんどは俺の番だ』は、もっとやわらかい、読み やすいタッチで書かれた小説で、高度成長期前後、明るく夢を追い求めていた人々をさわやかに描きな がら、どこかで社会を風刺している冷めた目が感じられます。新聞記者時代に得た経験と知識をいかして、古美術を題材にした作品も多く書いていますし、ヴァイオリニストの招聘を題材にした『黒い蝶』『貧 血と花と爆弾』など、音楽ものもあります。

 

彼の手法は、一歩ひいたところから客観的に見て、人間の滑稽さ、哀しみを浮き彫りにさせるというところにあると思います。また徹頭徹尾、語り口は冷静で、それでいて、読んでいる人を熱くさせる。 そういうところがすごく好きです。

残念ながら多くの文庫本が絶版になっているので、あちこちの古書店をまわってみつけるのが楽しみです。最近のヒットは短編集『崑崙の玉』で、なかでも、匈奴に嫁いだ美女、王昭君伝説をもとにした小品「明妃曲」に心打たれました。

 

僕は多趣味なほうで、将棋や天体観測、パソコンゲームや筋トレ、あと不謹慎ながら、雷の音を録音 して集めていたりするんですが、一番長く続いていて、夢中になっているのが、読書です。 夜、一人で、静かに読むのが好きです。完全に本の世界に入り込むと、イメージがぱーっと浮かんでいく。本を読む楽しさを知らない人は、気の毒だなと思います。そういう世界を味わうことができずにいるんですから。そう思ってついつい、友だちに本を貸しては薦めています。

残念ながら多くの文庫本が絶版になっているので、あちこちの古書店をまわってみつけるのが楽しみです。最近のヒットは短編集『崑崙の玉』で、なかでも、匈奴に嫁いだ美女、王昭君伝説をもとにした小品「明妃曲」に心打たれました。

 

僕は多趣味なほうで、将棋や天体観測、パソコンゲームや筋トレ、あと不謹慎ながら、雷の音を録音 して集めていたりするんですが、一番長く続いていて、夢中になっているのが、読書です。 夜、一人で、静かに読むのが好きです。完全に本の世界に入り込むと、イメージがぱーっと浮かんでいく。本を読む楽しさを知らない人は、気の毒だなと思います。そういう世界を味わうことができずにいるんですから。そう思ってついつい、友だちに本を貸しては薦めています。