私は知らないことへの好奇心が強く、音楽以外でも、気になることを調べたり探究したりするのが大好きです。
むしろ興味のあることが多すぎるくらいなのです。電車に乗れば人間観察、勝手な想像を膨らませ、ヴァイオリンも創ってみたい、芸能人に会ってみたい、楽譜を綺麗に製本したい。香水は何故匂いが長持ちするのか……建築基準法、マンゴーの育て方……などなど。そんな興味をすべて音楽に向ければきっと今頃天才かもしれないと思いつつ、無駄な時間も過ごしているのです。

オーディオも好きですが、最近手にしたスピーカーケーブルにドイツのinakustik LS-502というケーブルがあります。シンバルがシンバルらしく、ファゴットがファゴットらしく、金管が輝かしく弦楽器が艶やかにといった、一見当たり前のことがあたり前に聞こえることの凄さ。
バランスの良さ、透明度、しかもそれが音ではなく音楽として聴こえるのです。

この夏にはイタリア人ピアニストとパスタ・パーティーをしました。一人一品ずつパスタ料理を作るのですが、料理中もそのイタリア人はトマトソースを、何と丁寧に混ぜ見守る事か。
私の出来栄えは見た目はともあれ味では到底敵いませんでした!その際、友人は最高級というパスタ麺を持参してくれたのですが、彼の主張通り11分茹でても全くもってアルデンテな麺。ソースの最小限の素材と、麺の塩加減。この味、この食感。これが本場か……。

こういった事を無理やり音楽と結び付け、音楽に携わっていると自分に言い聞かせる。
なんて勝手なのでしょう(笑)

NJPにもどんどん新入団員が増え、先輩方が培ってきた大切な事を自分たちで大切にしていかなくてはならないほど時が進んできました。来年の室内楽シリーズや、そのほかの本番も楽しみです。そして、自分より若い世代からも学び、エネルギーを貰える事を嬉しく思います。NJPの仲間や、指揮者、共演者などから新たな刺激を受けるとき、NJPが「一緒に音楽をやろう!」という呼びかけで始まったオーケストラである事の素晴らしさを留意しています。何よりも音楽を大切に、自分たちから発信・挑戦し続けるオーケストラでありたいです。

(2019年9月)