のんびりやで、心の底から「やりたい! 」と思えるまでエンジンがかからないタイプです。音楽の道に進むことを決めたのも非常に遅く、高校3年の夏でした。思い返すと、私の「やりたいスイッチ」が入るのは、すべて人との出会い、演奏との出会いがきっかけになっているようです。

チェロは、3歳からスズキメソードで始めました。小さい時は熱心にお稽古していたものの、高校に入ってからは1週間に一度のレッスンでしか弾かないほど怠け者だった私が音楽に目覚めたのは、同じ門下の先輩である酒井淳さんとチェロアンサンブルをご一緒した時です。「チェロにはこんな音が出せるのか」と驚き、涙が出るほど感激しました。こういう音を出してみたい!─ この出会いがきっかけで、猛練習が始まりました。

もう一つの衝撃的な出会いは、大学時代に聴いた山崎伸子さんのリサイタルです。語りかける音、というのでしょうか。耳を傾けるうちに、チェロをどう弾くかではなく、チェロを通してどのように喋るかが大切なのだと気づかされました。先生に習いたいと藝大の大学院に進み、音の出し方はもちろんのこと、音楽家として生きるとはどういうことか、何をすべきか、厳しく、かつ温かく教えていただきました。

オーケストラプレイヤーになりたいと思うようになったのは、ライプツィヒに留学して、いろいろなオーケストラを聴くようになってからです。それぞれ個性があり、音も違う。なんて面白いんだろう!と。オーケストラの魅力は多様性だと思います。いろいろな人がいて、いろいろな音楽がある。違いがあるからこそ、音楽がより生きたものになるのではないでしょうか。その多様性を受け入れ、楽しむことこそ、オーケストラで弾くことの醍醐味だと感じています。

9ヶ月のプロベーションを経て、今年4月に入団しました。まだまだ経験不足で、ひたすら必死に勉強を続ける日々。いつも助けてくれる仲間たちが本当にありがたく、感謝しています。いい音楽ができるように頑張りますので、見守っていただけると嬉しいです。

(2019年7月)