まずは音楽監督・佐渡裕がおくるR. シュトラウスの「英雄の生涯」が聴きもの。マーラーと同時代の大家が自身の半生を投影した色彩的な大曲を、佐渡が持ち前の雄大な表現力を発揮して鮮やかに奏出する。同曲では、その点に加えてコンサートマスターが弾く技巧的なソロに注目したい。さらには他の各楽器も活躍する曲だけに、新日本フィルの奏者たちの名技も楽しみとなる。すなわちこれは、佐渡&新日本フィルのコンビの進化を確認できる、1年の集大成的な演目でもある。
また、華麗な技巧と美しい旋律美に溢れたサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番のソロを弾くモルドバ生まれのアレクサンドラ・コヌノヴァへの期待も大きい。ハノーファー国際コンクール優勝後、ロンドン響やパリ管等の著名楽団と共演を重ねる彼女は、佐渡も「完璧な技術と音楽性」と称賛するだけに、流麗かつ温かな名人芸で、フランスの看板協奏曲の魅力を明示してくれるに違いない。