2023年シーメンス・ハレ国際指揮者コンクール優勝の俊英ユアン・シールズの音楽作りに注目が集まる公演。1998年大阪に生まれ、13歳の時アメリカに移住し、現在はイギリス在住という国際派の彼は、2023年秋からハレ管のアシスタント指揮者及び同ユース・オーケストラの音楽監督を務めている。何と言っても武器は20代の若さ。そのフレッシュな感性と情感豊かと評される表現への期待は大きい。独墺の王道名曲が並ぶプロも魅力十分。中でもブラームスの交響曲第4番は、古い要素と濃密なロマンを併せ持つ作品だけに、その手腕に熱視線が注がれる。

 ピアノの反田恭平はショパン・コンクール2位受賞後も多彩な活動を展開している人気奏者。今回は演目がモーツァルト最後のピアノ協奏曲=第27番である点が興味をそそる。同曲は晩年の清澄さや枯淡の境地の表出がカギ。バリバリ弾いても淡々とし過ぎても味が出ない難曲ゆえに、本番が極めて楽しみだ。