久石譲が本領を発揮するプログラム。

 まずは作曲家・久石のベースであるミニマル・ミュージックの大御所フィリップ・グラスの作品が注目される。演目の「アメリカン・フォー・シーズンズ」(アメリカの四季)は、ヴィヴァルディの「四季」をモダンに変換したような快作。しかもソロを弾くのが、2009年に同曲を委嘱&初演後、世界中で100回以上演奏しているロバート・マクダフィーである点が心強い。またこの曲は、楽章の合間に無伴奏ソロ曲が配置されている点、どの楽章がどの季節なのかの解釈が聴き手に委ねられている点も興味をそそる。

 後半はストラヴィンスキーの「火の鳥」組曲。久石は、「春の祭典」の快演を複数回残すなど、この20世紀の大家にも造詣が深いし、今回は「1945年版」の使用もポイントだ。お馴染みの「1919年版」より精妙な曲が多い同版ならば、作曲家の視点で清新な音楽を創造する久石の持ち味がより効果を上げるに違いない。