2001年にNJPに入団して17年。ゼロからのスタートを支えてくれたのが、ティンパニ&パーカッションセクションの諸先輩でした。個性的な面々が揃いながら、まとまり良く仲が良い。そしてなにより、いい音楽をするために言いたいことが言い合える雰囲気が魅力のセクションです。ここ1年で先輩方が次々に定年を迎えて卒業されていき、気づけば自分がセクションの年長者側に。伝統を受け継いで、仲間に「うちのセクションで良かった」と言ってもらえるような雰囲気作りをしていきたいと思っています。

新人時代、諸先輩から言われ続けたのは、とにかく音色のことです。先輩たちと自分の音色があまりにも違うことに愕然としながらも、どうやったら彼らのような音が出せるのかわけもわからず試行錯誤の日々でした。違う、違う、と言われ続けて、ようやく、音楽の流れに求められている音色とはどういうものか、少しずつ理解出来るようになりました。そして「音程感のある音」の大切さ。ただ合わした音を鳴らすのではなく、音楽的に響かせて初めて、音楽に求められている音程が出せることも学びました。他にもたくさん大切なことを学ばせてもらいましたが、思い返すと、いつも先輩方は直接的な「答え」を教えることなく、僕が「自分で気づける」よう、辛抱強く言葉をかけてくださっていたと思います。本当によく我慢してもらったな、と感謝の念でいっぱいです。一番重要なのは、本人の「気づき」です。先輩方が僕にしてくれたことを目指して、自分も、仲間や現在関わっている学生達に向き合っていけたらいいなと思っています。

現在もそして今後も、ティンパニを通してオーケストラの演奏に何ができるのか、自分にとって「ティンパニストとはどういうものか」をつきつめていきたい。そして将来自分が卒業するまでに、自分なりにその答えが出せたらいいなと思っています。

1月の室内楽シリーズでは、柴原さんとともに以前から取り組んでみたいと思っていたバルトークの「2台のピアノと打楽器のためのソナタ」を演奏します。ぜひお聴きいただけると幸いです。

(定期演奏会プログラム2018年10月号掲載)