俊英指揮者・太田弦の手腕に注目が集まる。2023年から仙台フィルの指揮者、24年から九州交響楽団の首席指揮者を務める彼は、若手の中でも際立った逸材。九響での1年目も好評が伝えられている。新日本フィルでは、20年に急遽指揮したシューベルト「グレイト」で才腕を発揮し、ライヴCDも高く評価された。堅牢な構成の中に生気や活力を盛り込むのが彼の特徴。今回はより一層成長した音楽作りが期待される。

演目がドイツの王道名曲である点も興味を盛り上げる。まずはベートーヴェンの「運命」交響曲。誰もが知る同曲ならば、太田の音楽性が明示されること必至だ。そして後半は、21年ショパン国際ピアノコンクール第2位の俊才アレクサンダー・ガジェヴが、ブラームス若き日の意欲作、ピアノ協奏曲第1番を披露する。交響曲のような重厚さと華麗なピアニズムを併せ持つこの曲は、太田の構築とガジェヴの鮮烈なソロの双方に熱視線が注がれる。

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※本公演は演奏順が変更となりました。
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番、ベー トーヴェン:交響曲第5番「運命」の順で演奏いたします。