2025年は、音楽監督・佐渡裕が柱に掲げる「ウィーン・ライン」の究極の演目、マーラーの交響曲第9番で幕を開ける。マーラーの最高傑作と称される本作は、「死や別れ」を意識した音楽であると同時に、安らぎや無類の美しさ、さらには変化に富んだダイナミズムを有する多彩な交響曲。24年1月の定期で同作曲家の交響曲第4番を瑞々しく聴かせた佐渡&新日本フィルが、これをいかに奏でるか? まずはその表現に注目が集まる。またこの曲は、佐渡の師匠バーンスタインが歴史的名演を再三残した特別な作品でもある。従って今回は、師譲りの他で味わえないパフォーマンスの予感が漂う。加えて、24年夏のフェスタサマーミューザにおける交響曲第7番で高精度の快演を展開した新日本フィルのマーラー演奏への期待も大きい。
かようにこれは、コンビ2シーズン目の大本命であり、現段階での集大成的なプログラム。渾身の名演によるまたとない感動が待っている。
