“音の魔術師”シャルル・デュトワが生み出す魔法に酔いしれる公演。2022、23年にしなやかでエレガントな音色と芳醇・豊穣な音楽を紡いだ彼(何と今年88歳!)の指揮は、むろん必聴というほかない。特筆されるのが、22年の共演を経た23年には、“デュトワ・サウンド”がより浸透していた点。となれば、3年続けての共演における深化が大いに注目される。


プログラムでは、まずハイドン最後の交響曲「ロンドン」が楽しみ。佐渡裕音楽監督が掲げる「ウィーン・ライン」屈指の名作が、緻密かつハイセンスなタクトでいかに再現されるか? 現在モダン・オケで味わえる最上のハイドン演奏への期待が膨らむ。続く「ペトルーシュカ」と「ダフニスとクロエ」第2組曲は、言わずと知れたデュトワの十八番中の十八番。“魔術師”の真髄を間違いなく堪能できる。「ペトルーシュカ」のピアノを俊英世代最上位の実力者・阪田知樹が受け持つのも極めて贅沢だ。

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