16年在籍した東京佼成ウインドオーケストラを経て、昨年夏にNJPメンバーとなりました。憧れのオーケストラ・プレイヤーになることができ、胸を躍らせています。
クラリネットとの出会いは中学の吹奏楽部です。クラリネットは私のなかでは第一希望ではなかったのですが、コツをつかんで音が出せるようになると、柔らかく、温かみのある音が大好きに！ 先輩の出す音が素敵で、こういう音が出せるようになりたいと夢中で練習しました。佼成ウインドに所属されていた関口仁先生が合奏指導に来てくださっていたことも大きな影響でした。そのまま高校でも吹奏楽を続け、関口先生に習うために昭和音楽大学へ進学しました。
（前列向かって左が太田）
私の音楽の原点である吹奏楽でたくさんすばらしい経験をしてきましたが、オーケストラ作品をアレンジしたものを吹く機会が重なると、その美しいメロディーに魅せられ、こういった名曲をもっと経験したいと思うようになりました。
クラリネットの魅力は、息のかよった温かみのある音色だと思います。特に弱音は空気にとろけるようで、すばらしいプレイヤーの演奏を聴くと、音があたかも天井から降ってくるように響くのを肌で感じます。管楽器のなかでは音域が広く、まろやかで、スモーキーな音から金属的な鋭さまで音色のヴァリエーションが豊かなのも特徴。クラリネットの持つ幅広い音の魅力をたくさんの方に伝えられる奏者になりたいです。
NJPは風通しのいいオーケストラで、演奏をよくするための話し合いが多く、心持ちよく本番を迎えられることに感謝しています。「こんなことを聞いたらいけないかな」と思わせないでいてくださる雰囲気というのでしょうか。いつも前向きな気持ちでいられる環境が本当にありがたいです。これまで憧れてきた名曲の数々を吹くことの重圧もありますが、緊張のなかにも研ぎ澄まされた集中力で本番にのぞめる機会が少しずつ増えてきました。そのように自分で納得できる演奏に近づけた時の達成感は何にも代えがたい喜びです。コンサートの後の自分へのご褒美は、なんといってもお酒ですね（笑）。コロナ禍で出産したこともあり最近は外飲みが減ってしまっているのですが、お酒を飲んで語り合うのも大好きなので、機会が増えるといいなと思っています。
夢は、この人の演奏を聴きたい、この人と一緒に演奏したい、と思われるような音楽家になること。そのためにもNJPの仲間を見習って人間的に成長していきたいと思います。
（2024年4月定期演奏会プログラム掲載）
