両親とも音楽家で小さいときから音楽に囲まれて育ちました。母が練習しているのを見て、自分も弾きたいと言ったことからヴァイオリンを始めたと聞いています。ホルン奏者の父(現NJP首席奏者の日髙剛氏)がオーケストラで演奏していたことから、オケのコンサートにもよく足を運び、迫力ある壮大さがかっこいいなと聴き惚れていました。

父と(1歳4ヵ月)

ヴィオラに転向したのは、藝高を受験するとき、まわりからヴィオラが向いているのでは?と勧められたことがきっかけです。弾き方や音色に加えて、おっとりした性格からそう思われたようなのですが、実際、自分にとても合っていたと思います。優しく、温かく、豊かな音色が魅力的で、アンサンブルでは、ヴィオラが音楽の流れを動かし、和声の色を変化させることがあることに気づいて、面白さに夢中になりました。

オーケストラ奏者をめざしたいと思うようになったのも、ヴィオラでジュニア・オーケストラに入ったことがきっかけです。それまでヴァイオリンの発表会を楽しいと思ったことがなかったのですが、みんなと一緒に弾くとこんなに本番が楽しいものなのか!と驚きました。一人で弾いているときよりテンションが1ランク上がり、自分が思っている以上のものが出せる喜びを感じたのです。オーケストラって聴くだけじゃなくて弾くのも楽しいんだ! 入れたらいいなと、憧れから目標に変わっていきました。

NJPに入団することができ、父と一緒に演奏する機会が増えたのは本当に嬉しいことです。父はずっと温かく見守ってくれていて、学生時代は、歌いまわしや表現の仕方で迷うときにアドヴァイスをしてもらったりしていました。NJPで一緒になる機会が増えてからは、親子というより、信頼できる仲の良い仕事仲間という感じで、本番で父のホルンのソロがあると、私のほうが緊張してしまうことがありますね。終わった後、あそこが良かったとか、あの曲のこの部分はどうだったね、というように、家族で音楽談義をしてわかり合えるのは、本当に幸せだなと思います。

いまNJPのなかでは最年少で、先輩たちに面倒をみていただいている状態ですが、お世話になっている分、これから後輩たちが入団してきたときに、私がしていただいているように導いてあげられたらいいなと思っています。アウトリーチでも自分が引き継いでいけるように、どういう企画をして、どういう進め方をしているか、先輩たちの仕事ぶりを見ていきたいです。次の世代につなげていくことが、自分がしていただいていることへのご恩返しかなと思っています。

(2024年3月定期演奏会プログラム掲載)

出演予定