音楽監督・佐渡裕が、今シーズンからのテーマに掲げた「ウィーン・ライン」そのもののプログラムを披露する。ウィーン古典派の先駆者ハイドンを「オーケストラとの信頼関係を作るための重要なレパートリー」と語る佐渡は、第1弾に交響曲第44番を選んだ。疾風怒濤時代の短調作品たるこの曲は、格別な緊迫感を湛えた音楽で、長調の緩徐楽章もハイドン自身が「自分の葬儀で演奏して欲しい」と語った、「悲しみ」の愛称に相応しい作品。ここは、佐渡持ち前の劇的な表現を堪能しよう。

後半はウィーンで活躍したブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」。まさしくロマンに溢れた同曲は、このオーストリアの大家の交響曲中、親しみやすさの点で最上位の作品でもある。2015年オーストリアのトーンキュンストラー管弦楽団の音楽監督就任以来、佐渡が欧州の拠点を置くウィーンのサウンドや空気感を反映した、豊麗でダイナミックな音楽に期待がかかる。

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