世界的名匠シャルル・デュトワが、待望の再登場を果たす。デュトワといえば、もちろん“ 音の魔術師”。オーケストラから艶やかで色彩的な音色を引き出す点において、世に並ぶ者なき達人だ。昨年6月、48年ぶりの共演となった新日本フィルでも、豊麗・艶美で精緻なサウンドを紡ぎ出し、聴く者に鮮烈なインパクトを与えた。それゆえ、現在の同楽団を知った上で再び奏でる今回の共演への期待は限りなく大きい。

しかも、ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」とストラヴィンスキー「火の鳥」組曲に、ベルリオーズ「幻想交響曲」が続くプログラムは、マエストロが最も得意とするフランス物とストラヴィンスキーの代表曲中の代表曲が並んだ、“究極の極め付き”といえる内容。すこぶる元気なデュトワも、実は今年87歳を迎える。いま首都圏で彼が指揮する音楽を生体験できるのは新日本フィル以外にないので、その“魔術師”ぶりをしかと耳目に焼き付けておきたい。

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