NJPに入団したのが2004年。今年で19年目になります。これまでを振り返ると、小、中学校の先生をはじめ、子どもの時から人との出会いに恵まれ、支えられてきたなぁと感じます。
音楽との出会いも忘れられない出来事があります。父がトランペット奏者で、小さい時から興味を持っていましたが、小学校4年の誕生日に入門用コルネットを買ってもらったことが音楽と関わるきっかけとなりました。楽器ケースをあけると、父の手書きと思われる「無料レッスン券」が数枚入っていて、父のレッスンを受けることに…。うまーく誘導された感じですが、中学で吹奏楽を始めたり、当時父の所属していたオーストラを聴きに行くようになると、どんどん面白くなって、オーケストラ奏者に憧れるようになりました。プロの音楽家をめざすようになってからは、これが親かと思うほどの厳しい指導でしたが、音楽の道に誘い、サポートしてくれた父に感謝しています。
「淳一朗は出会いに恵まれてるね」と両親には事あるごとに言われてきましたが、NJPでもそれを感じました。音楽家としてだけでなく、人間として尊敬できる仲間と仕事ができる喜びは、なににも代えがたいものです。他のセクションもそうなのですが、入団当時からトランペットセクションは良い雰囲気をみんなで作り上げてきているように思います。和気あいあい仲良くするだけでなく、言いたいことは言い合い、そして、いい演奏をした仲間を褒める。このスピリットは、これからもつないでいきたいと思います。
NJPで下吹きを担当してきたおかげでセカンドトランペットの面白さを知ることができたというのも、感謝すべき出会いの一つです。内声ゆえ動きが独特な場合が多く、難易度の高い演奏を要求されることもあるので、完璧にこなせた時などは人知れず悦に入ったり(笑)、また他のパートのセカンドの動きも耳に入ってくるので、作曲家の特徴や個性が見えて来るように思います。例えばベートーヴェンやシューベルトの曲で、オクターブで重なるファーストとセカンドが、ある時点からユニゾン(同音程)に移行したりするのですが、その使い方や組み合わせに驚くことがあります。もちろん当時とは楽器の違いがあったり、和声進行上の都合があるにしても、それだけでは説明できない何かがあるように思えて、どうしてここでこうなるのか?と、改めて彼らの面白さや謎の深みにはまってしまいます。
趣味の読書は、最近の視力の劣化(いわゆる老眼)で敬遠しがちになってきています。将棋、一人旅、雷の録音など“ソロ活”の趣味が多いのですが、仲間と心置きなく語り合える飲み会も、そろそろ復活できるといいなと思っています。
(2023年3月定期演奏会プログラム掲載)