斬新なアイディア、現代音楽についての幅広い知見、意欲的な音楽作り。現代に生きる指揮者として必要な要素をすべて持ったインゴ・メッツマッハー(2013〜15年、NJPのConductorin Residence在任)が再び新日本フィルに帰って来る。取り上げる3作品はすべて新ウィーン楽派と呼ばれる20世紀初頭のウィーンで活躍した作曲家の作品。傑作ばかりだ。特に注目されるのがクリスティアン・テツラフをソリス
トに迎えるベルクの「ヴァイオリン協奏曲」だろう。難曲として知られるが、その音楽の中には亡くなった若い少女への想いが隠されており、多くのヴァイオリニストに愛されている作品だ。シェーンベルクの交響詩「ペレアスとメリザンド」も初期の作品ながら、世紀末の香りを存分に感じさせるもので、ウェーベルンの「パッサカリア」共々、20世紀初頭に花開いた芸術の魅力を教えてくれる。より新しい作品を得意とするメッツマッハーにとって、これらは古典である。