井上道義自身が台本、作曲などを担い 豪華な歌手陣が参加する新作オペラ

 現代では作曲家と指揮者はすっかり分業化されているが、アメリカではバーンスタイン、日本では外山雄三など、指揮者として盛名を誇りつつ、作曲活動を忘れない存在もいる。井上道義もそんな一人だ。しかし異例とも言えるのは、 台本の執筆から作曲、そして上演のプロデュー スまで井上が担い、新作を世に問うという点だ。このミュージカル・オペラ『 A Way from Surrender〜降福からの道〜』は2009年から台本執筆がスタートし、作曲は今年の7月に完成したと言う。全3幕で絵描きのタローが主人公だが、1970年代のタローの活動から物語が始まり、タローの両親の物語へと遡る。その舞台は太平洋戦争中のフィリピン、マニラ。 そして第3幕では再びタローのアトリエが舞台となるが、さて、そこではどんな事が語られるのか。井上は「人が生きる上での拠り所は何か? それは“受け入れる愛”ではないか」と、この音楽劇で問いかける。素晴らしい歌手陣を得て展開される井上ドラマに注目しよう。

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