NJPは私にとって特別感のあるオーケストラです。それは一番長く師弟関係にあり非常に大きな影響を与えて下さった恩師の小畑善昭先生が首席奏者を務められていたからです。8月から私も首席奏者として入団することができ、緊張とともに、期待に胸を膨らませています。

オーボエは、中学の吹奏楽部で始めました。最初はテニス部に入り音楽とは無縁だったのですが、文化祭で吹奏楽部の友人が吹くバーンスタインの「シンフォニック・ダンス」を聴き、かっこいい! 面白そう!と興味をそそられすぐに部活を移ることにしました。どの楽器を担当するか決める時ふと思い出したのが、小学5年の音楽の授業で出会ったオーボエです。レコード鑑賞の時間に「オーボエを聴く」という回があり、その音がずっと心に残っていたのです。あの音を出してみたい ─ それが始まりでした。部活以外に個人レッスンも受けながら、音大受験を決めた頃から、プロのオーケストラに入りたいと思うようになりました。

小畑先生には愛知県芸の4年間と藝大大学院という長期間指導していただきました。特に愛知では、東京から泊まりがけで通って来られていた先生と一緒に夕食を食べ、その後皆で先生の部屋に集まって音楽を聴きお喋りをしながらリードを作るというとても密な時間を過ごしていました。NJPの首席奏者を務められていた1985~90年頃のお話もこの時よく聞いていました。オーボエやオーケストラのみならず弦楽器、室内楽、オペラや歌などの世界を知り、興味を広げられるようになったのは恩師とのこの経験のおかげだと思っております。現在、私も愛知の母校で講師として教えていますが、そういう体験を学生たちと共有できないのがとても残念です。

小学校の授業で感じたように、オーボエの魅力は、聴く人の心をぐっと摑む音色だと思います。そして「オーボエはオーケストラの楽器だ」という、ある敬愛するオーボエ奏者の言葉のように、オーケストラのなかで生き生きと輝くオーボエでありたいです。10月の定期はR. シュトラウス、ブラームスとオーボエの聴きどころ満載の曲が続きますので、皆さまに楽しんでいただけるよう、ひとつひとつ丁寧に準備して本番にのぞみたいと思います。

家では2匹の猫が癒しです。この猫たちのInstagram(vn弾きの妻によるもの)は 34,000ほどのフォロワーを集めています。ぜひご覧いただけると嬉しいです! → @tonytony_oka