7月から首席奏者として正式入団となりました。学生時代に結成したカルテット・アマービレでもヴィオラを弾いてきましたが、オーケストラでの演奏を通して、一気に音楽的な視野が広がったような感覚があります。NJPの一員になれたことに幸せを感じて、もっと勉強したいという意欲が湧いてきています。

4歳でヴァイオリンを始め、高校から桐朋学園にヴァイオリンで入学しましたが、高校1年の時から室内楽のクラスでヴィオラを勉強し始め、どんどんヴィオラの音色が好きになり、自分にしっくりくると思えるようになって、大学3年でヴィオラに転向しました。その後、ベルリンに留学して、ベルリン・フィルの先生にレッスンを受けながらコンサートに通ううち、いかにヴィオラが内声を充実させ、オーケストラの響きに貢献するのかを知って、ヴィオラにますます魅せられていきました。

カルテットでは自分の音のあり方をダイレクトに感じますが、オーケストラでは、いろいろな楽器から耳の刺激を受けて、巨大なものの一部になって音楽をつくっていく感覚が楽しいです。オーケストラのなかでのヴィオラは、お料理のお出汁のような存在ではないかと思うんです。じっくり風味を感じていただけるように、じんわりと、滋味深い味わいが出せるといいなと思っています。例えばベートーヴェン7番の2楽章でチェロと演奏する静かなメロディ、ブラームスのシンフォニーでテンポをつくっていく刻み。あと、7月の642回で演奏したバルトーク(弦、打楽器、チェレスタのための音楽)冒頭のヴィオラセクションの弱音のソロなど、作曲家がヴィオラのために書いたメロディや内声の動きを知れば知るほど、ヴィオラの奥深さに気付かされます。皆さまにもヴィオラに耳を傾けていただいて、オーケストラ音楽をより深く楽しんでいただけると嬉しいです。

家では3匹の猫と戯れるのが癒しです。時間があるときは、料理やお菓子作りも楽しんでいます。おいしいものをリサーチして友達と食べに行ったりするのも大好きなので、はやく普通に出かけられるといいなと思っています。

日々、ヴィオラセクションの信頼関係が深まっているのを感じて、仲間のサポートをありがたく受け止めています。オーケストラプレイヤーとしての引き出しを増やし、スキルを学んで、もっともっと成長していきたいです。

出演予定公演