中学1年の時、学校の都合で姫路の両親の元を離れ、東京の祖父母の家で暮らすことになりました。
それから27歳で一人暮らしするまでずっと、親代わりとして厳しく、かつ温かく育ててくれた祖父母。
私が結婚式を挙げたとき、「自分たちの結婚式は戦争前でブーケもケーキもなかったわ」と祖母がつぶやいたのを聞いて、同じホテルで彼らのダイヤモンド婚(結婚60周年)を祝ったときの写真です。
ブーケは自分で手作りして贈りました。


祖父母は昨年、ともに90代で亡くなりましたが、写真をみると、毎朝お弁当を作り、ヴァイオリンのレッスンに付き添ってくれ、高校生の時は学校で夜まで練習して帰ってくる私を毎晩駅まで迎えに来てくれた祖母、私とは「波平さんとワカメちゃん」みたいな関係で、NJPのコンサートには欠かさず来てくれた祖父との思い出が甦ってきます。

3人の男の子の母親として、子育ては今でも試行錯誤の連続です。
もっと練習に時間をとりたいと同時に、もっと子どもたちといる時間がほしい。
そのせめぎ合いのなかで、どちらもうまくいかないストレスがたまって、辛い時期も多くありました。
そんなとき、私を救ってくれたのがこの母子像です。しっかりと抱いた子どもと頭を寄せ合う母の姿。思うように時間がとれずイライラしたとき、子どもを母に預けて仕事を続けていいものか悩んだとき、玄関に置いたこの像を見て、「母親モード」と「仕事モード」に気持ちを切り替えてきました。
そして泊まり込みで子育てを助けてくれている母の存在がなければ、仕事を続けることができないのは言うまでもありません。
私が祖母に育てられたように、私の子どもたちもお祖母ちゃんを頼りに育っています。

どんなに大変でも仕事を続ける決心をしたのは、やはりNJPで弾くのが好きだからです。
そしてNJPで弾き続けることこそ、これまで私を支えてきてくれた人たちに恩返しができると信じています。
子育ての一番大変な時期を経たいま、これからは、もっと自分に自信を持って前進していけるような時間の使い方ができたらいいなと思っています。