2007年夏から1年間、ドイツに留学しました。フランクフルトに住み、ストラスブルクまでレッスンに通いました。住む家をみつけて3ヶ月目、ちょうど落ち着いた頃に迎えたクリスマス。
街の広場に出現した色とりどりの屋台に、驚きと喜びのあまり、幾度となく足を運びました。その時に買ったお人形は、いまも我が家のクリスマスを彩り、ドイツの生活を思い出させてくれます。
すでに数年前のことですが、“思い出”として懐かしむには記憶が鮮明で、いまでもドイツの風景、過ごした日々が、色あせることなく目に浮かびます。

 

40歳にしての留学は、一般的に言えば遅いのかもしれませんが、私にはベストな時期でした。
それまで20年近くオーケストラで演奏した経験を踏まえて、レッスンから多くを学ぶことができただけでなく、人間として大切なことはなにか、なにを目的に生きるのかといった大きなところで自分を見つめ直すことができたのです。

 

いま思うと、なにかを吸収したいと強く願っていた時期だったように思います。
ドイツに行ってまず衝撃だったのが、自然の色の濃さ。
空の青さ、木々の緑が自分のなかにぱっと飛び込んできたのも、自分の心が欲していたからかもしれません。
長くて暗い冬の後、ようやく訪れる春の喜び。小川のほとりの小道の風景。
自然のひとつひとつに感動し、シューマンの「春」やベートーヴェンの「田園」など、こういう自然を背景に誕生したであろう音楽に思いを馳せ、実際の風景を知ることができて本当に良かったと思いました。

日本に帰ってもずっとこうありたいと思ったのは、ゆったりと時間が流れる、心にゆとりのある生活です。
自分のやりたいことをしっかり持っていて、それを実現させるために1日、そして1年の時間の使い方を考えて生活しているドイツ人を見て、とても羨ましく、私もそうなりたいと思いました。
そうは言っても日本での現実は忙しく、なかなか思うようにはいかないのですが。
時間に呑みこまれそうになるとき、このお人形たちを眺めて、「なにをやりたいのか、どうなりたいのか」と問いかけ、自分を取り戻すようにしています。

日本に帰ってもずっとこうありたいと思ったのは、ゆったりと時間が流れる、心にゆとりのある生活です。
自分のやりたいことをしっかり持っていて、それを実現させるために1日、そして1年の時間の使い方を考えて生活しているドイツ人を見て、とても羨ましく、私もそうなりたいと思いました。
そうは言っても日本での現実は忙しく、なかなか思うようにはいかないのですが。
時間に呑みこまれそうになるとき、このお人形たちを眺めて、「なにをやりたいのか、どうなりたいのか」と問いかけ、自分を取り戻すようにしています。