2026年10月7日(水)開催「DS presents 鬼才の肖像─實川風&スヴァルフヴァル」に向けて、指揮者ヴァハン・マルディロシアン氏への質問を募集中です。
お客様からのご質問
「ぶらあぼ」のマエストロの紹介記事を拝見しました。
これまでもエリザベート王妃国際コンクールなど次世代の新星誕生の場に立ち会っていらしてことを知りました。
差支えない範囲で、マエストロがこれまでコンクールで立ち会っていらした演奏家の中で
最も印象的な演奏家を教えてください。思い出深いエピソードがあればぜひお聞かせください。
また、これから音楽家を目指す日本の若い人たちにも一言メッセージを是非いただけたら嬉しいです。
マエストロからの回答
こんにちは。
メッセージをありがとうございます。
確かに私は、これまで多くの若いアーティストたちが成長し、世に出ていく姿を見てきました。そして、ある意味では、その過程に自分自身も関わってきたと言えるでしょう。特に、国際コンクールの決勝の舞台を通して、多くの若い音楽家たちと出会ってきました。その中でも最も有名なのは、ベルギーのエリザベート王妃国際音楽コンクールでしょう。
この5年間、私はこのコンクールのオーケストラとの協奏曲部門で定期的に指揮を務め、毎年24名の出場者と共演してきました。そこで出会った若い音楽家たちの多くには、本当に深い感銘を受けましたし、時には私自身の評価や好みが審査員の判断と必ずしも一致しないこともありました。
ただ、私が彼らについて判断できるのは、あくまで私と共演した協奏曲での演奏についてであり、コンクールのすべての段階を通しての演奏を評価できるわけではありません。
一人だけを選ぶことはできません。なぜなら、出場者一人ひとりが、音楽性、個性、技術、エネルギー、芸術的な知性など、それぞれ異なる魅力によって私に強い印象を与えてくれたからです。
何人か名前を挙げるなら、チェン・イーバイ、ケビン・ジュ、エットレ・パガーノ、北村陽、久末航などです。
この若い音楽家たちの中から、誰が明日のスターになるのかは、時間が経てば分かることでしょう。しかし、一つ確かなことがあります。それは、彼ら全員が、それぞれの音楽家としてのキャリアにおいて素晴らしいスタートを切っているということです。
また、これまでの人生で経験してきた素晴らしい出来事について語ることも、私にはなかなか難しいことです。なぜなら、一つひとつのコンサートが、それぞれの意味で唯一無二であり、忘れられないものだからです。
私に最も深い印象を残しているのは、過去、現在、そして未来の偉大なアーティストたちとの出会いだと思います。
例えば、私が最も多く共演してきた二人のヴァイオリニスト、イヴリー・ギトリスと前橋汀子です。
彼らと共演した一つひとつのコンサートは、今も私の記憶に深く刻まれています。それは、人生から与えられた素晴らしい贈り物の一つです。同じ音楽を呼吸し、同じ情熱を分かち合った、かけがえのない時間でした。
日本の若い世代のアーティストたちに、私は一つ、とても大切なメッセージを伝えたいと思います。それは、もしかすると、私自身が師たちから学んだ最も大切な教えかもしれません。
「音楽は道です。」
その道を選び、決してあきらめることなく歩み続けてください。
他人に喜ばれることを求めてはいけません。批判されても、称賛されても、誰の言葉にも惑わされないことです。ただひたすら前へ進み、終わりなく自分自身を高める努力を続けてください。
その道は長く、険しいものです。そして、最終的な目的地に本当にたどり着くことは、決してできません。歩けば歩くほど、その目的地はさらに遠くへと離れていくように感じられるでしょう。
大切なのは目的地ではなく、その旅そのものなのです。
鳥の歌の中に、風の息づかいの中に、そして一つひとつの日の出の中に、音楽を学んでください。
他の音楽家たちの演奏を聴き、学ぶことも大切です。しかし、決して彼らを真似しようとしてはいけません。
自分自身でいてください。
誰かの粗末な模倣になるよりも、自分自身の最高の姿を追い求めるほうが、はるかに素晴らしいことです。
あなたに必要なものは、すべて楽譜に書かれています。
楽譜を読むことを学んでください。それこそが、作曲家とあなたを直接つなぐ唯一のものだからです。
そして、努力して、努力して、さらに努力してください――ただし、決して「生きる」ことを忘れないでください!!!
ヴァハン
引き続きマエストロへの質問を募集中です。
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演奏会情報
会場:第一生命ホール
プログラム
- ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 op. 37
- チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op. 35
出演者
- 指揮:ヴァハン・マルディロシアン
- ピアノ:實川 風
- ヴァイオリン:クリスティアン・スヴァルフヴァル