Interview

特別インタビュー

指揮者 ヒュー・ウルフ氏インタビュー

指揮者 ヒュー・ウルフ氏インタビュー


2/7(木)の第600回 定期演奏会 ジェイド<サントリーホール・シリーズ>の指揮者、ヒュー・ウルフ氏にインタビューを行いました。第600回演奏会の魅力、作曲家コープランドとの貴重なエピソードもお聞かせいただきました!


©Caroline Talbot

-日本では、コープランドといえば『アパラチアの春』が有名ですが、なかなか全曲コープランドを取り上げることはありません。今回、上岡敏之との相談で、このような素敵なプログラムを紹介してくださるとのこと、大変楽しみです。
この「市民のためのファンファーレ」はロック界の方が、クラリネット協奏曲は、ジャズ界の方がご存知と思いますが、クラシック界と融合して、境界なく楽しめるものだと理解していますが、マエストロから見たこのプログラムの魅力を教えてください。

 

コープランドは最も影響を及ぼした重要な20世紀のアメリカ人作曲家です。彼はジャズ、フォークソング、ラテンダンスなどのポピュラー音楽を取り入れた新しいスタイルの音楽を開拓しました。

今回のプログラムはコープランドの曲の中でも最も頻繁に演奏される「市民のためのファンファーレ」、ジャズ・クラリネット奏者ベニー・グッドマンのために作曲された、多くのジャズ要素を含むクラリネット協奏曲と、コープランドの一番大きい交響曲である第3番で構成されています。

 

コープランドについてのエピソードがあれば、教えてください。

 

コープランドに会ったのは私がワシントンで、アシスタント指揮者をしていた頃で、コープランドは客演指揮者として、主に自身の作品を指揮するために頻繁に来ていました。コープランドが『アパラチアの春』を指揮した時に私はピアノをオーケストラで弾きました。彼は優しく、正直で、率直で、自信を持った人でした。もちろん、コープランドは自身の作品の中で何をしたいかを知っていて、それをとても印象的かつ効率的になしとげていました。

私の個人的な思い出はアメリカ大統領ジミー・カーターがいる会場でコープランドが『リンカーンの肖像」』ナレーションし(※)、レナード・バーンスタインが指揮した時です。私はその時、チェレスタをオーケストラで弾いていました。私はコープランドから発せられるリンカーンの言葉が深く、印象的で非常に衝撃を受けました。コープランドは朗読者としての自負や演出を盛り込まずに、シンプルにリンカーンの言葉を「普通の市民」の気持ちを込めて話しました。とても美しかったです。

 

※コープランド作曲「リンカーンの肖像」の曲中では、第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンの演説が朗読される。

また、交響曲第3番は、本当にかっこいい曲ですよね。2010年に新日本フィルと共演されたマエストロにとって、今回このメインとなるシンフォニーでオーケストラに期待すること、お客様に紹介したいポイントがあれば、是非、教えてください。

 

このプログラムで交響曲第3番を「市民のためのファンファーレ」と一緒にした理由は、コープランドがファンファーレを拡大させてこの交響曲のフィナーレに使ったからです。コンサートの最初と最後がつながるわけです。私はこの交響曲が大好きで何度も指揮しました。私はこの曲を「純粋さと経験の歌」と考えるのが好きです。最初の楽章はシンプルで、素朴な美しいメロディーから始まります。楽章を進んでいくにつれ、暗い気持ちが芽生えてきて、メロディーが戻ってくるときにはもの悲しさが感じられます。これはこの作品の中のあらゆるところにあります。甘い純粋さと憂うつな経験が交互にあらわれるのです。この交響曲を聴く旅を通して、「勝利」のようなものが、この作品の結末として浮かび上がってきます。

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