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片桐卓也 の ≪鑑賞のツボ≫

片桐卓也 の ≪鑑賞のツボ≫ 最後の交響曲に込められた想い 作曲家の気持ちに寄り添う演奏会 #596 ジェイド

最後の交響曲に込められた想い

作曲家の気持ちに寄り添う演奏会

この回ではオーストリアで19世紀に活躍した交響曲作曲家であるアントン・ブルックナーの交響曲が取り上げられるが、昨シーズンも上岡シェフによるブルックナーは話題を呼んだので、ぜひ聴いて頂きたいコンサートである。

ブルックナーは交響曲第9番に取りかかっていたが、残念なことに完成までには至らず、亡くなった。第1~第3楽章は完成したが、第4楽章は未完成のまま終わったのだ。第3楽章を書いている時に、ブルックナーは「未完成の場合は第4楽章の代わりに『テ・デウム』を演奏するように」と伝えていたと言われる。「テ・デウム」は交響曲第6番、第7番と同じ時期に書かれた宗教曲であり、神の栄光を讃えるラテン語の歌詞による作品だ。上岡はそのブルックナーの想い通りに、ここで交響曲第9番と「テ・デウム」の声楽陣は、山口 清子、清水 華澄、与儀 巧、原田 圭と豪華な布陣で、合唱は新国立劇場合唱団。作曲家の想いを演奏のなかに聴き取りたい。