Treasures of NJP members

NJPメンバーの宝物

近藤高顯(ティンパニ)

ベルリンのフォーグラー先生のもとで学んだ2年間が僕の人生を決めた…、といっても過言ではありません。
“響きの楽器”であるティンパニを鳴らす術は勿論「ティンパニ奏者としてどうあるベきか」を、身をもって教えられました。師との出会いがなかったらNJPでのティンパニ人生は絶対にあり得ません!

 

先生はカラヤン黄金時代のベルリン・フィル(以下BPO)で活躍したティンパニ奏者で、僕が彼のティンパニに出会ったのは1977年のBPO来日公演での「田園」でした。これだ!と思った僕は、先生に習いたい一心で彼が来日するたびに楽屋を訪ね、必死でドイツ語を勉強して奨学金を受けて弟子になれたんです。

現役時代の先生は大ホームランあり、場外大ファールありのパワフルな演奏が魅力でした。
レッスンには、いつもBPOのその夜の演奏曲目を持っていき、初日の本番ではオーケストラの後ろの席で、2日目は客席で聴き、先生のティンパニがすぐ傍と客席でどう違って響くのかを知り、その繰り返しの日々から、オーケストラの中での様々なティンパニの役割と共に「コントラバスの様なティンパニの音色」を学びました。

 

音楽面のみならず、先生は人生の師でもありました。早寝早起きを守り、練習時間を確実にキープするベく自分を厳しく律した生活態度からは、いかに日々の鍛錬と節制が大切かを教えられました。
留学後も会うたびに彼の口から真っ先に出るのは「久しぶり!元気?」ではなくて「練習したか!?」なんですよ。

 

85年に入団したNJPも今年で一応卒業となります。
そんなここ数年、先生から受けた教えが花開いてきた気がして、これからの自分がどうなってゆくのかが楽しみに思えるようになりました。いつも僕を支えてくれている家族に感謝しつつ、どこまで自分を深められるか、自分としっかり向き合っていきたいと思っています。

C・アバド/BPO来日公演の際の恩師との2ショット

My treasure ≪楽団員の宝物≫ 2013年 5月号
Vol.51 近藤高顯(ティンパニ)

メンバーが大切にしている秘蔵の品、それにまつわる思い出を紹介するコーナーです。