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片桐卓也 の ≪鑑賞のツボ≫
片桐卓也 の ≪鑑賞のツボ≫演奏機会の少ない「トリプル」を 名手3人と鈴木秀美の指揮で味わう ルビー#38
演奏機会の少ない「トリプル」を名手3人と鈴木秀美の指揮で味わう
ベートーヴェンの生涯を振り返っていると、肖像画から感じる「孤高」のイメージとは違って、実にたくさんの人と関わっていることが分かる。貴族との関係も多様で、特に自分のピアノの弟子でもあったルドルフ大公との繋がりは深かった。ベートーヴェンの伝記作家であったシンドラーの説だが、そのルドルフ大公がピアノを弾くことを前提に書かれたとも推測されるのが「ヴァイオリン、チェロとピアノのための三重協奏曲」、いわゆる「トリプル・コンチェルト」だ。ピアノのパートが比較的易しく、かつ目立つように書かれており、逆にチェロのパートはかなり技術的に難しいのも事実。
でも、実際に名手3人で演奏される機会が多い「トリプル」は、聴いている間はそんな「意図」を感じない。今回も崔文珠をはじめとする3人のソリストの響宴が楽しみだ。
古楽に精通する鈴木秀美の指揮する「運命」にも新しい発見が満ちているに違いない。ベートーヴェンの強いメッセージを体感しよう。
