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片桐卓也 の ≪鑑賞のツボ≫

片桐卓也 の ≪鑑賞のツボ≫故国への告別と、運命としての人生 それぞれの想いをこめた傑作を聞く ルビー #37

故国への告別と、運命としての人生 それぞれの想いをこめた傑作を聞く

 

19世紀の音楽が21世紀の聴衆をいまだに引きつけている理由は、その音楽のなかに込められた作曲家の想いが真実だから、ではないだろうか。協奏曲も交響曲も言葉を介さない音楽。しかし作曲家が語ろうとしたことは私たちの耳に届く。私たちはその中に、今の時代でも感じる想いを聴き取る。だからこそ、音楽は常に古びない。それを改めて教えてくれるのが、19世紀を代表するこの2曲、ショパンのピアノ協奏曲第1番とチャイコフスキーの交響曲第5番だろう。ショパンが故国ポーランドを離れる時に開催したコンサートで初演された協奏曲は、旅立って行く者の強い決意と望郷の想いを感じさせてくれる。若くしてデビューした逸材・牛田智大がそれを歌い上げる。冒頭から「運命の主題」と呼ばれる重苦しい主題をめぐって音楽が展開されるチャイコフスキーの交響曲第5番を大友直人の熟練のタクトが存分に描く。そこには永遠に変わらない音楽の魅惑が満ちる。

関連コンサート

定期演奏会 ルビー〈アフタヌーン コンサート・シリーズ〉第37回

2021/2/19(金)・20(土)両日14:00~ すみだトリフォニーホール