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片桐卓也 の ≪鑑賞のツボ≫

片桐卓也 の ≪鑑賞のツボ≫ロマン派の香気あふれるシューマン ベテランと若手の出会いにも注目だ #626 トパーズ

ロマン派の香気あふれるシューマン
ベテランと若手の出会いにも注目だ

 

昨シーズン、新日本フィルはシューベルトの交響曲を全曲演奏した。ベートーヴェンと同時代に生き、作曲したシューベルト。彼の交響曲のなかには、後輩作曲家たちの指針となるような新鮮な音楽的感覚が満ちており、メンデルスゾーンやシューマンといった1810年前後に生まれた作曲家たちに大きな影響を与えた。そのシューマンの代表的な作品を集めたのがこの演奏会。劇音楽『マンフレッド』序曲からスタートする。1852年初演だからシューマンの亡くなる4年前の作品。香り高い旋律とロマン派らしい繊細なハーモニーに満ちた傑作だ。日本の若手の中で群を抜く存在である上原彩子が共演する「ピアノ協奏曲」は、オーケストラとピアノが一体となり、ドラマを作り出す。大ベテランの秋山和慶がその経験豊かなタクトで、朗らかさと敬虔な心が同居する交響曲第3番「ライン」を導いてくれるのも聴きものだ。シューベルトから受け継がれた歌心に満ちた交響曲の世界が広がる。