NJP楽員ストーリーズ

「音楽を楽しもう!」by廣嶋 嘉人 (NJPコントラバス奏者)

音楽を楽しもう!

廣嶋嘉人(NJPコントラバス奏者)

大学を卒業した翌月に入団して、42年10カ月。1月末でNJPを卒業します。楽しく、幸せなオーケストラ生活を送らせていただきました。初めてのフリー生活を前にして、一抹の寂しさとともに、これから何をしようか、ワクワクと期待の高まりを感じています。

入団したのは、NJP創設から5年目の1976年。最初のコンサートは、秋山和慶さん指揮のプロコフィエフ5番でした。当時は厳しい先輩たちが多く「五月病」にかかった時期もありましたが、オーケストラの楽しさが、それを克服させてくれました。練習も本番も楽しむこと。困難や苦労すらも楽しむこと。ここまでオーケストラを続けられたのは、とにかくオーケストラが好きなこと、そしてこの「楽しむ精神」のおかげだと思います。

コントラバスは弾くのも聴くのも楽しい楽器です。よく縁の下の力持ちと言われますが、オーケストラの中ではヴァイオリンの対旋律を受け持つことが多く、ヴァイオリンを聴きながら、メロディを弾く楽しさも味わえます。またスピード感をつけたり、リズムを推し進めたりする役割もありますし、それに反応してくれるまわりのセクションとのやり取りも醍醐味です。そして演奏するのは名曲ばかりで、100回弾けば100通りの楽しみ方をみつけることができる作品ぞろいです。お客様にも、ひとりひとり、それぞれの「楽しみ方」をみつけていただけるといいなと思います。

思い出に残るコンサートはたくさんありますが、自分で「よくできた」と思ったことは一度もありません。演奏ごとに、自分なりに批評し分析して、次はこうしようと前に進んできました。自分が一番好きなことを仕事にできたこと、そして常に前へ前へと向上をめざすことができたこと。音楽家として本当に恵まれていたと、あらためて思います。

これまでどう生きてきたかが問われるのはこれからです。「NJPコントラバス奏者」という肩書がはずれる“これから”こそ、NJPで培ったことを生かして、いい音楽を続けていきたい。そして、音楽を楽しむ精神を決して忘れず、ひとりでも多くの方に「音楽が楽しい!」と思っていただけるような活動ができればと思っています。

(定期演奏会プログラム2019年1、2月号掲載)