新日本フィルハーモニー交響楽団

新日本フィルだからこそできる音楽

西江辰郎(新日本フィル コンサートマスター)

Tatsuo Nishie

上岡さんは、ふつうならあまり足を踏み入れることない、ある種の「境地」をご存じな方とでも言うのでしょうか。指揮をしている最中、まったく正反対のキャラクターが瞬時に切り替わる、あるいは常に両極端が隣り合わせで共存する印象を持つことがあります。たとえば「天使」と「悪魔」、「神」と「人」など。それはある独特な魅力となって聴衆の方々にも届いていると感じます。また、情報化が進み、音が溢れかえっていて、表現は似通ってしまいがち―そんな世の中にあって、上岡さんは、常識や固定観念にとらわれずに解釈することに徹していらっしゃる。それが個性として音楽に出てくるのを、共演させて頂いている側としても興味深く感じています。つまり音楽に謙虚に向き合い、裏づけのある解釈を持つように心掛けるべき。これは、常に私自身のポリシーでもあり、楽員みんなにとってもそうだとおもいます。そのことで新日本フィルとして、いかなる指揮者と共演するときでも、オーケストラとしての独自性を持っていられる。表現や音楽的な面においてこれまで以上に説得力のあるものができるようになり、「新日本フィルだからこそできる音楽」というものが確立されてくるのではないでしょうか。

しいて言えば常識そのもの自体、何度も覆ってきたものですよね。音楽家としては「自分なりのイマジネーションや解釈」はもちろんあったうえで、たとえ自らの解釈とは異なるものを提示されたとしても、そこに意味があるのであれば「よし!やってみよう」という柔軟さが、重要だと私は思うのです。今、上岡さんが我々の音楽監督になってくださり、私も自分に取り入れるべきと思う事はどんどん吸収したいですね。

こういった「常に変化すること」がこれまでの新日本フィルにはなかった更なる魅力を育んでいくことになると私は思っています。

2017/2018シーズンは、本格的に上岡さんが関与され組まれたプログラムになり、いろいろな点でバラエティに富んで挑戦的になっています。慣れ親しんだ曲だけではなくて新しいレパートリーが加わることも、オーケストラにとってもお客さまにとっても、刺激的になることとおもいます。お楽しみに!


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