新日本フィルハーモニー交響楽団

次のステップのために、できるだけたくさんの「色」をパレットに乗せていく

崔 文洙(新日本フィルソロ・コンサートマスター)

Munsu Choi

上岡さんは恐らく本質的に素朴な方。とてもピュアなのだと思います。そういう、色眼鏡のない方だからこそ、あたらしい曲にトライするときに、まっさらになって接することができる。たとえばひとと接するときであっても自分がどう感じるかを大事にしていらっしゃいます。だから音楽においても、けしてトラディションには縛られないし、それを意識的に避けるようにしているようにも思います。
上岡さんご自身はスコアに忠実な方ですが「解釈」という点では、ひとそれぞれ。ですから、誰と共演するときであれ、こういう解釈もあるのだ、と、楽員は常に自分自身の引き出しを増やしていかなくてはいけません。これが良い/悪い、というような単純な問題ではありませんからね。

上岡さんの就任期間を通じて「新日本フィルの音楽」を創っていくことをめざしています。それは時間のかかる作業であり忍耐力も必要とされますが、まずこの1年は順調だったのではないでしょうか。たとえば上岡さんが「無理をしないように」と奏者に伝えるとします。奏者には、出てしまった音に対しての責任というものがありますから、きれいな音を出すためには、コントロールの範疇を超え‪てはいけないということなのですよね。そういった作業を繊細に掘り下げてゆくことで、オ―ケストラの音は変わっていく。そして、そうやって変わっていく音について、演奏する側は意識していなくてはいけません。良くも悪くも日本のオーケストラは器用すぎるところがありますので、良い方向に向かい始めていると思えていても、やはりそれを実のあるものにしていくためには異なるプロセスが必要になっていくのだと思います。

2016/2017シーズンの1年は「新日本フィルの音楽」を「新日本フィルの色」だとたとえるなら、やっとパレットの蓋が開いたところです。
2017/2018シーズンでは、ここに1つひとつ、色を配置していきます。そのなかから色を選んだり、混ぜたりと進んでいく次のステップのために、できるだけたくさんの色を乗せておかなくてはいけませんね。

お客様には”自分が育てた”じゃないですけれど「あのときはこうだった」と後で自慢気に振り返っていただければいいですよね。そのためにも今の新日本フィルを観に来ていただきたいですし、来ていただくからには、良い演奏をお届けしたいと思っています。


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